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INTERVIEW

役者になったのは、「誰かのきっかけになりたい」と思ったから。 工藤 阿須加

2020.02.15

すらりとした長身に、吸い込まれるような瞳。大河ドラマ『八重の桜』では主人公・八重を導く会津藩士を、初主演した映画『ちょっと今から仕事やめてくる』では、仕事に懸命なサラリーマンを演じ、観客に共感を与えてきた工藤阿須加が、ドラマ『連続殺人鬼カエル男』で、猟奇的な連続殺人犯を追う刑事・古手川役を演じる。陰惨な現場に立ち向かう直情的なキャラクターは、これまでの爽やかなイメージを一新する。

「いつかは、悪役というか風変わりな役にもチャレンジしてみたいという気持ちはあったんです。イメージを壊せるように、と思っていました」。演じる作品も、どんでん返しのあるドラマが好き。「伏線を張って張って(笑)、ミスリードされてゆくのが、たまらなく面白いんですよね」。

大学在学中に役者の道に。高校時代はプロテニスプレイヤーを目指していたが「無農薬でリンゴを育てる『奇跡のリンゴ』を読んで、農業大学に進学しました。でも、入学した1年後に芸能界に入っていたんです」。紆余曲折あったが、テニスをやっていた時も、農業を志した時も、変わらず抱いていた思いがあった。

「実は子供の時にすごく悩んでいる時期があって。それでも家族は僕を支えてくれて、立ち直るきっかけを与えてくれました。だから僕も、誰かのきっかけになりたい、ならせていただけたらいいな、という思いが強くなって。それを最も叶えられるのが、俳優じゃないかって」。

まっすぐな生き方は、リアルな役作りに通じる。「自分なりに学べることは学んでから役に入ります。フィクションとリアリティのバランスは難しいですが、リアリティがあるからこそ、それの崩しがいもあると思うんです」。

今回のドラマでは、先輩刑事を演じる鶴見辰吾との関わり合いが重要だったと語る。「鶴見さんて『こういうやりかたもあるんじゃないかな』と考えさせてくれる方なんです。僕の引き出しをどんどん引き出してくれました。

辛い時も、和める空気もあって、最高の現場でしたね」。

ショッキングなシーンの裏に、人間誰しもが持つ心のドラマがある。工藤阿須加の思いのこもった芝居が、名作ミステリーの奥底に潜むメッセージに気づくきっかけを与えてくれる。

ヘアメイク:SHINYA(Primal art)、スタイリスト:壽村太一


Profile

1991年、埼玉県出身。2013年、NHK大河ドラマ『八重の桜』で本格俳優デビュー。2014年、第24回日本映画批評家大賞新人男優賞。2018年『ザ・ブラックカンパニー』でドラマ初主演。朝の情報番組ZIPの水曜パーソナリティーを務め、2019年『ニッポンノワール』で、謎めいた刑事を怪演。表現の幅を広げている。


「連続殺人鬼カエル男」

監督:熊澤尚人 出演:工藤阿須加 鶴見辰吾ほか 原作:宝島社文庫『連続殺人鬼カエル男』中山七里。宝島社『このミステリーがすごい!』大賞関連の作品をドラマ化するシリーズ。工藤阿須加は、新人刑事を演じる。関西テレビで2020年1月より、毎週木曜日放映。U-NEXTで毎週金曜独占配信。

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