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INTERVIEW

そのほうがお芝居に厚みが出ると思ったから、『最初の晩餐』では、美也子の小学生時代にも挑戦しました 森七菜

2019.8.15

2016年に地元・大分県でスカウトされ、新海誠監督の新作アニメ『天気の子』ヒロインの声優ほか行定勲、熊澤尚人、白石晃士、岩井俊二ら、日本を代表する監督の作品に出演。小柄な高校生が瞬く間に「今、最も注目される女優」に。

「スカウトされたときは、うれしかったですね。そこからどんどん話が進んで、気がついたら東京にいたんです(笑)。それからは何が待っているかわからない毎日で‥‥。でも、逆に今まで熱中することがなかったから、部活を頑張っている友達と、やっと同じ場所に立てたっていうか」。

『最初の晩餐』で演じたのは、父親の再婚に心揺れる長女の美也子の小学生から高校生まで。デビュー直後から才能を高く評価された彼女にとっても、難しい役どころだった。

「特に、実年齢よりも若い小学生の役をやるかどうか。『どうする?』と言われて、でも私はやりたかったんです。映画の中で時が流れて、高校生になってゆくんですけど、小学生時代も体験したほうが、お芝居に厚みが出ると思って。ランドセルを背負ってみて(笑)、『よし、やれそう』って」。

映画は、父と美也子と弟の麟太郎の3人家族に、新しい母と連れ子のシュンがやってきたことから始まる。美也子は反抗的になる。「美也子の小さい頃は、自分の子供時代にそっくり。意地っぱりなところとか、拗ねているところとか。昔を思い出しながら、演じていました」。

ギクシャクしていた5人は、徐々に家族の絆を強めてゆく。その中心にあるのが、永瀬正敏演じる父親の存在だ。

「永瀬さんは、撮影現場で『父ちゃんは、こういう映画が好きでね』と話してくれたり。ベテラン俳優さんというよりも、本当にパパって感じだった。『こういう作品がおすすめだよ』と教えてもらった映画のタイトルは、台本の裏に書いておきました」。

現場で楽しかったことは、登場する料理の美味しさ。

「この映画は、『料理の美味しい映画』です! 料理の準備が始まるといい匂いがしていて。食事シーンで食べ過ぎて、次の撮影でおなかいっぱい、なんてこともありました」。

これからの目標は「信頼してもらえる女優さん」。

「共演者や監督だけでなく、観ていただける方にも信頼される女優さんになれたら。たとえば、原作がある作品であっても『難しい役だけど、森がやるんだったら、おもしろいんじゃない?』って思ってもらえるような」。

ヘアメイク:佐藤寛(KOHL)


森七菜 Profile:

2001年大阪府生まれ、大分県出身。2016年にスカウトされ、ドラマ『3年A組—今から皆さんは人質です—』、園子温が総監督を務めたドラマ『東京ヴァンパイアホテル』、白石晃士の映画『地獄少女』(11月公開)など、幅広い映像作品に出演。動画作りが趣味。

「この映画『最初の晩餐』が“食卓”のように、コミュニケーションのきっかけになれば」常盤司郎監督

「家族」を思い出すとき、なぜか「食」の記憶と共に思い出すことが多いと感じていました。例えばどこかに家族で旅行に行った記憶も、それを思い出すとき、「何を食べたか」の映像が同時に浮かんでしまうんです。だから「食」で「家族の記憶」を揺り起こすような映画が作れないかと考えました。森七菜演じる美也子という役は、この映画で一番感情の振り幅が大きく、とくに少女期には、家に見知らぬ「女」が来るわけですから、余計に敏感になってしまうのでしょう。その「女」が彼女の「母」になっていくという物語です。

この映画はある意味で「群像劇」です。だから観た人は、好きな場面、涙を流す箇所、共感する登場人物が、面白いくらいに異なるようです。これから映画を観る方も、家族や友人と一緒に観て、それらについて語り合うのも良いかもしれません。この映画が「食卓」のように、皆さんのコミュニケーションのきっかけになれると嬉しいですね。

  • 常盤司郎Profile :福岡県出身。1999年よりフリーの映像監督として活躍。サザンオールスターズのドキュメンタリー映画をはじめ、CM、ミュージックビデオで評価を高め、短編映画では受賞多数。本作が長編デビュー作。

『最初の晩餐』 2019年 11月1日公開

父の通夜。母は、生前、父がつくってくれた料理、家族の思い出の料理を振る舞った。麟太郎は、母が連れ子のシュンと家にやってきた日のこと、姉の美也子とともに戸惑いながらも5人で家族として暮らした昔を思い出す。しかしシュンは5年後、家を出ていった。通夜の夜、そのシュンが、15年ぶりに姿を現した。

出演:染谷将太 戸田恵梨香 窪塚洋介 斉藤由貴 永瀬正敏 /森七菜 楽駆 監督・脚本・編集:常盤司郎 

©2019「最初の晩餐」製作委員会 配給:KADOKAWA

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