「お茶の季節」、いつだと思われますか？お茶のシーズンとして思い浮かぶのは、新茶の出る5月。摘みたてのフレッシュな葉が煎茶として最初に出回る時期です。茶の湯の世界では、11月が、新たなお茶を用いる始まり、つまりお正月なのです。春に摘んで、碾茶（てん茶）にされたお茶は、いったん茶壺にしまわれ、寝かされます。壷と蓋とは美濃紙で糊付けで封印され、11月にその蓋を開けて新茶を出すことを「口切り」といいます。この茶を石臼で挽き、初めて客人をもてなすのが「口切りの茶事」で、茶の湯の世界ではもっとも厳粛な茶事です。壷の中で夏を越してまろやかになったお茶への期待と感謝を感じながらいただく一服。気持ちも引き締まる、抹茶のお正月です。