GRAND MARBLE PRESS

MENU
ENTERTAINMENT

「幻を信じて、救われる人もいる。描いているのは、そんな世界」中村 ゆり

2022.9.15


CMでは笑顔のお母さん、サスペンスドラマでは冷血な人妻に。役への没入ぶりで、見る人の心をとらえる中村ゆり。
『嘘八百 なにわ夢の陣』で演じるのは、物語の鍵を握る謎めいたアートプロデューサー・寧々。
「得体が知れない人物で、演じるのは難しかったです。しかも根強い人気のあるシリーズの3作目ですから。プレッシャーを感じつつも挑戦できたのは、武さんが監督だったから」。
『嘘八百』1作目からメガホンを取る武正晴監督は、彼女が映画で初めてヒロインを演じた『パッチギ! LOVE&PEACE』の助監督だったという深い縁がある。「私が女優を始める瞬間に出会っている、戦友のような、先生のような武さんと、こうしてまた映画をやれるっていうことに、特別な緊張を感じています」。


巨額の金と欲望渦巻く世界に生きる寧々が、中井貴一演じる空振りばかりの古美術商・小池と繰り広げる攻防は、今回の映画の見どころ、そして演技の見せどころ。
「中井貴一さんと初めてのシーンはすごく緊張しましたよ。でも、私が緊張しているのを察して『中村さん、緊張する?僕もめちゃくちゃ緊張するよ』とおっしゃってくださって。現場の雰囲気を柔らかくしてくださる先輩の配慮、すごく勉強になりました」。
緊張、勉強、と、口をついて出るのは、ひたすら謙虚な言葉。
「『演じて気持ちいい』なんてこと、全くないです。役者さんにもいろんなスタンスがあると思うんですけど、何だか私は常々、第三者の目みたいなのを自分の中に持とうと思っているようで、『感情で演じてしまうと勿体ない』と思うところもある」。


張り詰めた緊張をほぐしてくれたのは、ロケ地・大阪の空気。「ローカル感あふれる場所に泊まって、銭湯に行って、サウナで汗を流したり。久々に大阪の感じを味わってリラックスできました。共演いただいた桂雀々さん、山田雅人さん、コテコテの関西キャラクターの皆さんも、みんな優しくて」。そんな掛け値なしの人情味と、壮絶な騙し合いとが入り混じるこの「嘘八百」な世界を、 “第三者の目”で演じながら、どう感じていた?
「本当かどうかわからない、そういう曖昧なものって、世の中にたくさん溢れていると思う。幻であっても信じる人がいるから成り立っていて、それに救われる人もいる。そういうところを描いている映画だと思います」。
彼女自身、緊張、勉強続きの撮影現場を離れれば、“曖昧”さにどっぷり浸って、バランスをとるそう。「山や海に行ったり、ただただ本当に楽しくて本当に嬉しくて、気持ちいいことを意識的にすることを大切にしています。何か、すごくいい加減になる自分の時間を、意識的に作るっていうか」。

ヘアメイク:藤田響子、スタイリスト:道券芳恵

 

中村 ゆり Yuri Nakamura
Profile
1982年生まれ、大阪出身。07年『パッチギ!LOVE&PEACE』でヒロインを演じ、注目を集める。近年の出演作品に、BSテレ東『今夜はコの字で』(20、22)、TBS『天国と地獄〜サイコな2人〜』(21)、TX『ただ離婚してないだけ』(21)等多数。映画『窓辺にて』(今泉力哉監督)が2022年11月4日〜公開予定。

 


 

映画『嘘八百』シリーズ第3作は、大阪城・「秀吉の秘宝」をめぐる抱腹絶倒のドラマ

左:中井 貴一、右:佐々木 蔵之介

空振りばかりの古美術商・小池則夫(中井貴一)と、うだつの上がらない陶芸家・野田佐輔(佐々木蔵之介)のコンビで贈る、開運お宝コメディ。第1作『嘘八百』(2018)では千利休の、続く『嘘八百 京町ロワイヤル』(2020)では古田織部の茶器をめぐって激しい騙し合いゲームを演じた2人が、『嘘八百 なにわ夢の陣』では、豊臣秀吉の出世を後押ししたと言われる七つの縁起物「秀吉七品(しちしな)」をめぐって抱腹絶倒のドラマを展開する。「Part1を撮影した時には、これがシリーズ化されるなど、全く考えていませんでした」と中井。「大河ドラマで秀吉役をやらせて頂いたことや、実家の酒蔵が聚楽第の跡地にあったりすることもあり、大変にご縁のある、ありがたい作品になりそうです」と佐々木。息の合った2人の思い入れもマックス。シリーズ最高傑作の登場だ。

 

 

 

©2023「嘘八百 なにわ夢の陣」製作委員会

『嘘八百 なにわ夢の陣』
これまで千利休、古田織部の茶器をめぐり大騒動をおこしてきた二人。豊臣秀吉の1億円級のお宝“鳳凰”をめぐり、またもや前代未聞の騙し合いが幕を開ける!

出演/中井貴一、佐々木蔵之介、安田章大、中村ゆり
監督/武正晴 脚本/今井雅子、足立紳 音楽/富貴晴美 配給/ギャガ

●2023年 1月6日 全国ロードショー

 


 

人気シリーズの生みの親・武正晴監督が語る『嘘八百』の面白さのツボ

「嘘八百」って言葉は、「東京には橋が100あるらしいけど、うちらは800ある」って、昔の大阪の人が言ったのが始まりなんです。そんな言葉の遊びが何百年と受け継がれてきた。僕は骨董のようなものは、わからなかったんですけど、『お宝』と呼ばれる、何百年も残るものの凄み、陶芸など物を作っている人間の凄みを、この映画で改めて思い知りました。このシリーズの面白さは、人生うまくいかない主人公2人組が、どっかで一発逆転、意地を見せようとするところ。そういう不器用な人たちに光を当てるっていうのは、僕たち映画の仕事だと思ってます。

武 正晴 Masaharu Take
Profile
1967年 愛知県出身。監督作に安藤サクラ主演『百円の恋』(2014)、Netflix配信ドラマ『全裸監督』(2019)ほか。

PAGE TOP