アーティスト・山本聖子が試みた、 色によるコミュニケーション
SEIKO YAMAMOTO at POLA GINZA
Gallery PARCでの2019年の個展で、色彩をテーマに社会の不穏さ、感情を、映像とインスタレーションで表現したアーティスト・山本聖子。国外での精力的な活動を通して関心を強めてきたのが、言葉を超えた「形にならない想いの視覚化」。行動が制限された時期、なおさら切実に感じられたこのテーマを、ポーラギンザのウィンドーでの展示にあらわした。《I RO DO RI》と題された作品は「日本語の手紙」と「色と形のついた記号の手紙」の2つからなる。日本語の50音がカラフルで視覚的な記号に変換され、付随する二次元コードを読み込むと、色彩研究者・三木学氏が開発したアプリmupicが音楽に変換。視覚と聴覚で楽しめる作品だ。元の手紙の内容が消えて読めなくなる代わりに言葉の奥にあった想いが、色と形、音を与えられ、自由に解き放たれる。「どこかの『私』が誰かに向かって手紙を書いている、それが伝われば作品は成立していると思っています」(山本)。
上《Letter with Colors and Shapes to you 》(2021)台湾で漁師として働く移民労働者に向けた「手紙」。その人の出身地であるインドネシアの布、バティックを使っている。
2021年6月11日から 7月15日までポーラギンザで展示。日本語を記号に変換するシステムを、ウェブ上でも体験。オリジナルポストカードのプリント用データをダウンロードできる。
https://net.pola.co.jp/ec/closeup/polaginza/202106/index.html
山本聖子 Profile
2006年京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術表現専攻修了、2013年ポーラ美術振興財団在外研修員としてメキシコシティに滞在。 個展『白いシロ』(Gallery PARC 2019)、VOCA展2021(上野の森美術館)、 個展『黒の先に落ちた赤』(駁二大義區・漾藝廊/高雄、台湾 2020)など。