
パリ在住の日本人ピアニスト・作曲家、中野公揮が、新アルバムをリリース
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アルバムジャケットは、フランス人アーティスト、シリル・バージェによるもの。 身体性のバウンダリー(境界)をテーマにしている。 |
パリ在住の日本人ピアニスト、作曲家の中野公揮が、4作目のアルバム『Ululō』をリリース。渡仏から約10年、フランスのレーベルNø Førmat!からリリースされた初アルバム『Lift』(2016)では、ジャズ、クラシックなど現代の音楽のフレーバーを融合させ、『Pre-Choreographed』(2020)では、コンテンポラリーダンスとの協働によって音楽が身体性と空間性を伴ってグルーヴィーに変化。気鋭の振付師、ダミアン・ジャレの舞台で、オペラ座のガラ公演で日本人として初めて演奏。文楽人形遣いの吉田簑紫郎との実験的なコラボレーション、Issey Miyake 2023 s/s 、2024 a/w の音楽を担当するなど、各界のクリエイターたちと、刺激的な表現を展開し続けている。
前作『Oceanic Feeling』(2022)は、海洋のように広い水のうねりを抽象的にイメージさせる印象だった。「『Ululō』では、それと対になるような音楽を作りたかった。無限の水のイメージが、ここでは涙という非常に個人的なスケールの“雫”に置き換えられている」タイトル『Ululō』は、ラテン語で遠吠え/叫びを意味する。そのイメージの源泉は「名月を 取ってくれろと 泣く子かな」という小林一茶の有名な一句だという。
「子供の頃僕は父に抱かれてベランダで『月を取ってくれ』と泣いてせがんだんです。今になって思えばそれは、自分にとって最初の、世界のあるものとの間の途方もない距離、自分の身体の限界に微かに気づいた経験でした」
世界の複雑性、摩擦、限界を知って、それでもアーティストとしてその先に向かおうとする、叫びのような思い。それを、幼い頃に月に手を伸ばした体験にオーバーラップさせて放った叫びが、今作だ。今回は初の試みとして、3名のジャンルの違う歌手が参加し、それがピアノの旋律をより印象的にしている。
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Profile 東京藝術大学の作曲科に学ぶ。2015年からパリに拠点を移しフランスのレーベルNø Førmat!と契約。3枚のアルバムを発表。2019年に振付師ダミアン・ジャレと名和晃平と共に石巻リボーン・アートフェスティバルでワークショップに参加。ジャレの作品「ブリス=ラーム」のオリジナル音楽を作曲。気鋭のコンテンポラリーダンサーとのコラボレーションも精力的に続ける。 |
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『Ululō』に参加した3人の歌手、左からウェイン・スノウ(ナイジェリア)、ヤエル・ナイム(フランス)、ジョルディ(イギリス)。

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